こんにちは
はさみアドバイザー・ショップ店長の山添です。
いつもはさみを愛用していただきまして
ありがとうございます。
私たち光邦シザーズの研ぎは
必要以上にハンドル側は磨きません。
私自身のほろ苦い経験のお話もひとつ、
まだ若かりし頃の
研ぎをするようになって間もない日のこと、
研ぎや、かみ合わせの調整などに加えて
ハンドル側も新品の様にピカピカにして
納品させていただきました。
一週間後にその方からご連絡が!
「研いでもらったところで申し訳ないが
はさみを落としてしまったのでまたお願いします。」
とのことでした。そして、
「研いでもらって切れ味は問題ないけど
なんだかハンドルがすべりやすくなったというか
フィーリングが変わったような…」
とおっしゃられて
私はㇵッとしました。
その後、師匠や熟練の職人さんに何気なくお話を聞いたり
自分自身でもいろいろ研究・勉強しました。
(昔の職人は見て覚えろでそんなに多く教えてくれません)
まず、
ハンドル側はステンレス鋼ですが
ステンレスは磨けば磨くほど
エッジが無くなっていきます。
鏡面仕上げは
見た目はきれいになりますが、
表面が滑らかになるがゆえ
皮脂や汚れが付着しやすくなったり、
その汚れを放置したまま手入れを怠ったりしてると
逆に光沢が失われくすんだりしてしまいます。
また専門的な話をさせていただくと、
バフに研磨剤をつけて磨きにかけるのですが
この研磨剤の油が、ステンレス表面の目に見えないような傷にも
入りこんでしまいます。
いいモノは新品やピカピカの頃より、
使いこんだり履きこんだもののほうが
かっこよかったりします。
私物で失礼しますが同じ品番のジーンズと靴を!
やはり使い古した方が
かっこいいです(靴は真ん中が新品)
ハンドルにも
あなた色のなじみと
歴史を刻んでいってくださいませ💫
それではまた
はさみの世界でお逢いしましょう。